第3章 003...これが私たちなんです
イベントを始めると、早速何人かのアバターがやってくる。
それを見つけては、定型文をサラサラとログにしていくのは、カウンター内に座るさとみの担当。
フロアに置かれたスツールの1つに腰掛ける恭弥も、訪れるアバターたちを招き入れ、話しかけたり聞いたり、たまに踊ってみせたり。
程なくして、また新しくアバターが現れると、思わずさとみは声を出す。
「あっ、メグさんにヤスさんだ!」
声に出したところで、聞いているのはあくまでも恭弥だけなわけで、口と同時に手を動かす。
ハナ “メグさん、ヤスさん、こんばんは!”
メグ “ハナちゃん、こんばんは♪今日も可愛いねー”
ハナ “メグさんこそ、その新作ウィッグ凄く似合ってますよーヾ(*´∀`*)ノ”
キョウ “ヤスくんいらっしゃーい!その服、ガチャのやつじゃーん!”
ヤス “いやぁ、コンプの道程は険しかったっすよーw”
全ては小さな画面上で、文字と多少のリアクションのやり取りなのだが、普通に会話してるのと感覚は変わらない。
さとみも恭弥も、それぞれ知り合いは数多くいるが、メグとヤスは特に親しい友人だ。
ヤス “そういえばキョウくん、イベ立てるの、今日ちょっと遅れた?”
キョウ “いやぁ、ヤスくん鋭い!実はハナが駄々こねてねー?(´・ω・ `)”
ハナ “Σ( ºдº)?!”
キョウ “ちょっとオレの女装が可愛いからって拗ねてさぁー!”
メグ “マジかwwwww”
ハナ “ちょっマスター、それ今言うー?!でもホントに可愛くてちょっとプライド傷付いた…(遠い目)”
ヤス “あっはっはっはっ!!wwwさすがだわー!”
メグ “キョウくんの女装はさぁ、本気過ぎてヤバいってww”
こんな、くだらないことで笑える時間が、さとみは好きだった。