第4章 密談-こんのすけ
「それでは蜂須賀殿。審神者様をよろしくお願い申し上げます」
まだ、全ては始まったばかりだ。
蜂須賀の中の、いつか宿ってしまうかもしれない熱に今から思いを来したところで意味はない。
そう思い直し、こんのすけはとてとてと歩みを再開して蜂須賀とすれ違う。
その刹那、
「じきに夕餉だ。後でこんのすけも来てくれ」
本来、こんのすけも刀剣男士である蜂須賀も、食を必要としない。
味の好みというものは個々にあるし、飲食も可能だが、摂取しなくとも別段支障はない。
蜂須賀もこんのすけも、そういう存在だった。
だから食卓につく必要もないといえば、ないのだが。
「主は一人での食事が嫌いなようだからな」
それは、○○自らが望んで口にしたことではない。
そのことを、こんのすけは知っていた。
一人で食べるのを何となく嫌そうにしている、そんな気配を、蜂須賀自らが察したのだ。
こんのすけは、ふわり、と目を細めながら頷いた。
「かしこまりました。それではこんのすけも、ご相伴にあずかるといたしましょう」
「そうしてくれ。これで主の食がもっと進んでくれれば良いのだがな」
まったく、食欲がないようで困る、と呟きながら、長い菫色の髪がこんのすけの視界から遠ざかっていく。
何くれとなく、少女の身を案じているらしい蜂須賀に、自然とこんのすけの面が緩んだ。
「仲良くしてくださいませ、お二方とも」
それは裏表のない、こんのすけの心のままの言葉だった……。