第12章 絡まった想い[下]
婚約するなんて言ったけど...
これから先、ずっと璃央の傍にいるのは正直キツイな...
ふと先ほどの事を思い出す
憤怒した駿
悲しそうにこっちを見るあゆ
駿が何か言いに来る事は予想してたけど
まさかあゆも来るなんて考えもしなかった
(前のあいつだったら、俺がいなくなる事を喜んだだろうな...)
あゆを見ると触れたくなる
自分の立場も忘れて、抱きしめたくなる...
”梨奈さんの、代わりでいいから”
あゆの言葉を思い出して震えた手を握り締めた
俺は...
きっとあいつを傷つける事しか出来ない
もう俺の事で泣かせたくない
出来る事なら、自分の手であゆを守ってやりたいのに...
そう思うのは、あゆが梨奈に似てるから...?
ただ単に、あゆに梨奈を重ねているだけなのか
あゆ自身を想っているのか...