第12章 絡まった想い[下]
「...あゆちゃんは、恵がフランスに行ってもいいの?」
私の呟きに悲しそうに眉を下げる武本君
きっと私がこんな事言うなんて思ってなかったんだろう
「俺は、梨奈に対する恵の気持ちがどれだけ強いか知ってる。璃央じゃダメなんだよ...。俺には分かる」
武本君...
雨宮君の事、すごく大切なんだ
雨宮君を追ってこの学校に来たって言ってたし
そんな事、半端な気持ちじゃ出来ない
私は武本君の強い意志を感じ、意を決するように拳を握って武本君を見つめた
「私も...。私も雨宮君に行ってほしくないっ!」
非力かもしれない
何も出来ないかもしれない
でも...
雨宮君のあんな顔もう見たくない
武本君を二度と苦しめたくない
真っ直ぐ見つめてくる私を見て、武本君は優しく微笑んだ
「1週間、チャンスは3回しかないけど...何とかしよう!」