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恋愛玩具

第12章 絡まった想い[下]



「武本君、さっき執事さんが言ってたんだけど...」

「ん...?」

「フランスに行く前に、璃央ちゃんたち学校へ行くみたいなの。それが明後日と明々後日になると思うって...。それを逃したら、会えるチャンスはフランスに発つ当日だけ...」

胸の前でギュッと手を握る

「フランス行きの便は、11時」

2人がフランスに行ってしまうまでに、なんとかしなきゃいけない...

私も武本君を真っ直ぐ見つめてそう告げると武本君が目を伏せた

「葵のやつ...、バカだな」

執事さんの意図を汲み取ったのか、武本君は切なげに眉を寄せ微笑した

視線を上げ私を見る武本君
壁にもたれていた体を起こすと私へと近づいて顔を覗き込んできた

「あゆちゃん。恵の事...まだ嫌い?」

もう分かってるはずなのに...
確認する様に問い掛けてきた武本君に私は首を振った

「なら、あゆちゃんも協力してくれる?」

「私も...」

「あゆちゃんを巻き込んじゃって悪いんだけど...。恵はさ、一度決めた事に対しての意思が固いんだ。そんなあいつを動かすには、あゆちゃんが必要」

力になれるなら、私も協力したい

でも...昔から仲の良い3人の中に私が入って、何か出来るのだろうか...

「...雨宮君が、璃央ちゃんを好きになる事は...無いのかな?」

ふと口から出た私の言葉に、武本君は目を見開いて固まった

「2人がお互いに想い合ってたら、こんな悲しい事にはならなかったのに...」

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