第12章 絡まった想い[下]
廊下を走るあゆ
1人歩いて行ってしまった駿の姿を探していた
(武本君...どこ行ったんだろ...)
広い邸宅の廊下は途中で左右に分かれる場所が何箇所かあり、既にあゆは自分がどこに居るのかさえ分からなくなっていた
ドレスの裾が邪魔で走りにくい...
裾を掴みあゆは必死に駆け回った
(どうしよう...武本君を今1人にしちゃいけないのにっ...)
焦りながら思うがままに廊下を進んでいくと、曲がった廊下の先に駿の背中が見えた
「...よかった!」
肩を落としたまま歩く駿へ駆け寄ると腕を掴む
「っ...、武本、くんっ...!」
突然掴まれた腕に驚いて振り返った駿の瞳は真っ赤になっている
息を切らしているあゆを見て駿は目を見開いた