第12章 絡まった想い[下]
「椎田様...」
「は、はい...」
まるで硝子玉の様に輝く瞳は、どこか不安げに揺れ動きながらも真っ直ぐ私を捉えていた
「貴女は、恵様の事を...どうお思いですか?」
思いがけない問い掛けに胸がツキンと痛む
(私は、雨宮君の事...)
「私は...」
(どう思ってるんだろう...)
言いかけた言葉はそのまま止まってしまった
なんと答えるべきなのか分からなくて...
複雑な感情がぐるぐると駆け巡って、いつの間にか黙り込んで俯いてしまっていた
そんな少女を見て、葵は落胆していた
見誤ったか...
姿は似ていても別人は別人。梨奈様と同じようには...
「雨宮君のことは、正直よく分かりません...」
耳に届いた少女の声に、葵は俯いたままのあゆを冷たく見下ろした
期待外れと嘆息しかけた瞬間
顔を上げたあゆが冷たい視線を向ける葵に一瞬目を見開くも、表情を引き締め葵を見つめた