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恋愛玩具

第12章 絡まった想い[下]



「...1週間後、璃央とフランスに行く」

「えっ...!?」

雨宮君の言葉の後に響いた声は武本君のものではなく、私の声だった

(しまった!思わず声が...)

私の反応が思いがけないものだったのだろう
僅かに目を見開いた雨宮君と目が合った

すぐに目を逸らされたけど、眉を寄せ私を見てきた彼の表情に...戸惑いが見えたように感じた

「...ッ恵!何かあったんだろ?俺に相談しろよ!俺じゃ頼りないか!?」

武本君も雨宮君の僅かな表情に気づいたのか、声を上げて雨宮君に訴えかける

「...っ!?葵ッ、2人を追い出しなさい!」

「お前、また1人で全部抱える気かよ!ふざけんなッ!くそ、離せよッ!!」

拘束されて必死に抵抗する武本君に執事さんは顔を歪める

「お許しください、駿様...」

「璃央!こんなの間違ってるッ、絶対幸せになるワケない!このままだとお前も辛い思いするんだぞッ!」

「なっ...葵!早く追い出して!!」

璃央ちゃんの声に、私も武本君も執事さんに強引に引きずられた

「恵は今も梨奈が大切なんだろ?どれだけ想ってたかなんて、ずっと近くで見てたんだ。俺が一番分かってるよ!梨奈はきっと恵に幸せになってほしいはずだ...。だから、梨奈の分まで幸せになれよ!自分の気持ちに嘘つくような悲しい事すんな!」

扉が閉まる瞬間、武本君の言葉に雨宮君が泣きそうな程悲痛な表情を浮かべているのが見えた

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