第12章 絡まった想い[下]
「恵...、お前。本当に璃央と婚約したのか?」
武本君の言葉にまだ顔を背けている雨宮君を真っ直ぐ見つめた
「あんなに梨奈の事想ってたのに、いきなり璃央と婚約するなんて...。本当に...、本当に恵の意思で婚約を決めたのか?」
そうだ...
私もそれがずっと気になっていた
だって、ついさっきまで梨奈さんの事を強く想ってたのに...
部屋から出て行った後、雨宮君と璃央ちゃんの間に何かあったんじゃ...
「璃央には悪いけど...、信じられないんだよ。恵...、本当はお前、璃央に上手く乗せられて...」
「違う」
低く抑揚の無い声に全員の動きが止まった