第12章 絡まった想い[下]
「サプライズの方が喜んでいただけるかと思いましたので」
「でも俺はッ...」
「駿様なら、心から祝福していただけると思っておりました。お二人が決められた事です。どうか...駿様から璃央様と恵様に祝福のお言葉をお願いいたします」
「...ッ」
苦い表情を見せた武本君を見て、執事さんはそっと目を伏せた
「本日は、璃央様にとって忘れられない日となるでしょう...。璃央様のお部屋へご案内いたします」
目を開け穏やかに微笑んだ執事さん
私の手首を掴んでいた武本くんの手に力がこもる
さっき...
目を伏せた執事さんの顔が、悲しそうに見えた気がしたけど...
(気のせい、かな...)
それから璃央ちゃんの部屋に着くまで、誰も話す事はなかった