第12章 絡まった想い[下]
長い廊下を走って探しているのはあの2人
2人を見つける前に、見覚えのある背中が目に飛び込んできた
「葵!」
武本君の声にピタリと歩みを止めたその長身の男性は、ゆっくりと振り返った
「...いかがなさいましたか?駿様」
私たちを見るなり微笑んだ執事さん
今はこの柔らかい物腰が焦れったく感じる
「恵は...、恵と璃央は今どこだよ!」
噛み付きそうな勢いの武本君に、執事さんは表情ひとつ変えずにゆっくりと口を開いた
「璃央様の、お部屋でございます」
時が止まったみたいに空気がピンと張り詰めた
微笑んでいる執事さんと武本君が睨み合っている様に感じて、私は息を殺してその様子をジッと見つめていた
「...葵。お前」
「はい」
「恵と璃央の事...、何で俺に言わなかった?」
武本君の声が震えてて、泣いてるみたいで...
胸がきゅう、と苦しくなる