第12章 絡まった想い[下]
「葵!」
目の前の執事に見入っていると、武本君が声を上げた
「お久しぶりです。駿様」
柔らかく微笑んだ執事に嬉しそうに駆け寄る武本君を目で追う
(そっか、璃央ちゃんの執事さんだもん。武本君は知ってるよね)
「璃央には会ったけど葵にはまだ会えてなかったからな!」
「ご挨拶が遅れてすみません。恵様にはお会いしたのですが...」
「いいよ。葵も色々と忙しいもんな。ところで、何かあったの?」
...あれ?
今、執事さんの表情が少し変わったような...
「...ええ。璃央様からご挨拶が...。広間に集まっていただけますか?」
「璃央が?」
そう言って執事さんを見た後、武本君は私に視線を向けた
「...あ、えっと。私...」
「...椎田様も、一緒に来ていただけますか?」
穏やかな表情の執事さん
なんだか...
感情が読めない人だな...
「はい...」