第12章 絡まった想い[下]
「え...、えっ!梨奈!?だ、だだ...誰にッ?」
動揺しているのか、瞬かせた瞳は大きく揺れていた
「奈々先生に...」
「そ、そっか...。奈々さんに...」
「梨奈さん。すごくいい子だったんだって...、いっぱい話聞いたよ」
そう言った瞬間、武本君の表情がとても優しく穏やかになった
「...うん。梨奈は、俺たちにとって太陽みたいな存在だったから...」
皆の反応でよく分かる
梨奈さんは、本当に皆から愛される存在だったんだ
「武本君、私...」
コンコン
ノックの音に遮られた言葉
タイミングが良すぎて咄嗟に肩を竦ませた
「どうぞ」
私の代わりに武本君が返事をしてくれて、ドアノブが回される音の後静かに扉が開かれた
「失礼いたします」
丁寧に深々と頭を下げる男性
漆黒の艶やかな髪
上げられた顔は、端整な顔立ちをしていた
羨ましい程、透き通る様な白い肌
こちらを見据える瞳は碧く輝いている
すごく綺麗な方だけど...生気が無いというか
人形みたいな人だ