第12章 絡まった想い[下]
「...か、顔に何かついてる?」
「んーん。...前のあゆちゃんに戻ったのかなって思って」
「え...?」
再び武本君に視線を戻すと、いつもの様にニコニコと微笑んでいた
「上手く言えないけど、あんな事があって表情がずっと強張ってたから...。久しぶりにあゆちゃんの自然な笑顔見れた感じがして嬉しい」
嬉しそうに笑った武本君の言葉がすごく嬉しかった
私が戻れたのは、きっと奈々先生から雨宮君たちの話を聞けたからだ
雨宮君は自分の過去を隠したがるけど...
私は隠すような過去じゃないと思う
雨宮君の事、もっと知りたい
彼の凍りついた心を溶かしたい
最初の出会いは最悪だったけど、せっかく出会ったんだから
普通に仲良くなりたい
「あのね、武本君」
「ん?」
「私...、梨奈さんの事聞いたんだ」
武本君が一瞬固まった