第12章 絡まった想い[下]
コンコン
控えめなノック音
(誰だろう...?執事さんかメイドさん、かな?)
「は、はい。どうぞ...」
緊張しながら返事をすると、扉を開けて顔を覗かせた人物は執事でもメイドでもなかった
「あれ?恵、いないの?」
「武本君ッ!」
そこにいたのはスーツをバッチリ着こなした武本君だった
「あゆちゃん倒れちゃったんだって?心配したよ...。でも、恵が連れてったって勇介に聞いてさ。もしかして今行ったらヤバいかなー、なんて思ったんだけど...」
ニコニコしながらペラペラ喋る武本君
言っている意味が分からなくて首を傾げると、武本君は「ま、気にしないで」とヘラリと笑った
「それで?恵を追い出しちゃったの?」
ソファーに腰掛けた武本君の言葉にハッとする
(そうだ。武本君は私がまだ雨宮君の事嫌ってると思ってるんだ)
「ううん。雨宮君が出て行っちゃって...。私のせいなんだけど...」
笑って頬を掻くと、私をじっと見つめていた武本君と目が合った
そのまま数秒目が合い、思わず逸らしてしまう