第12章 絡まった想い[下]
見てる...
今、恵は私だけを見てる
思わず笑ってしまいそうになる唇を引き締めて
ゆっくり頬に刃先を突き立てると鋭い痛みを感じた後鮮やかな赤い血が頬を流れた
純白のドレスが、赤に染まっていく
「.....璃央ッ」
眉を寄せ顔をしかめた恵が璃央の腕を掴む
カラン...と音を立ててナイフは床に落ちた
「この傷をつけたのは恵よ...」
全部壊れちゃえばいい
恵には私しかいなくなればいい
私に傷をつけた事も背負って
一生私の傍で償えばいい
私を、愛さなかった事を...
「俺は...」
「恵、私の傍にいて。恵の傍には私がいるわ。一生傍にいて、愛し続けてあげる...」
梨奈の事、無理に忘れなくていい
私が...ゆっくり忘れさせてあげる...
「一緒にフランスへ行きましょう...恵」