第12章 絡まった想い[下]
「...あ、あの子ね!椎田あゆのせいで...」
「違う。あいつは関係ない。...あゆに出会ってなくても、今の気持ちは変わらない」
「.....梨奈?梨奈がいるから...?」
僅かに恵の表情が強張った
ねえ...どうして?
梨奈は死んだのよ...?
どうして...
なんで死んだ人間に私が負けるの?
「...どうして」
小さく呟いた言葉は虚しく空気に溶けていった
瞳から涙が落ちて強く唇を噛みしめる
「...梨奈は、俺にとってかけがえのない人だ。大切な人だっていうのは...ずっと変わらない」
「梨奈はもういないのよ?」
璃央の放った言葉に恵は苦しそうに顔を歪めた
指先が震えてるくせに拳を作って
あなたはまた悲しみに耐えるのね...
一生消えない傷を背負って
どうして1人で生きていこうとするの?