第12章 絡まった想い[下]
「っ...!」
突然名前を呼ばれて息を呑む
不安定な心を悟られない様に表情を引き締めた
「やっと見つけた...。あの子ばかり構うんだもん。寂しかったのよ?」
駆け寄ってきた璃央は、恵の腕に絡まると甘える様に見上げた
「......」
「恵...?どうかした?」
「あ...、いや...」
様子のおかしい恵を見て璃央は首を傾げた
さっきと様子が違う...
あの子と...、椎田あゆと何かあったんだ
やっぱり、あの時引き止めた方がよかった...?
「恵、少し疲れたんじゃない?休んだ方がいいわ」
「ああ...」
上の空な恵の腕を引っ張って自室へと招きいれる
恵を部屋の奥へと押し込んで扉を閉めると、後ろ手で静かに鍵をかけた
もしかしたら...
今がチャンスかもしれない
何があったのか知らないけど
恵は今、心が揺れている
きっと、普段の恵だと流されてしまう事も今ならいけるかもしれない
ぼんやりと立ち尽くしている恵
璃央は後ろからそっと抱きついた