第12章 絡まった想い[下]
「くそッ...」
イライラする
あゆに対してじゃなくて、自分に
なんで、逃げてしまったんだろう...
これじゃあ...最後の、あの言葉を肯定した事になる
でも...あのまま一緒にいたら俺は何を言うか分からなかった...
あいつを傷つけない方法なんて見つからなかった
「.....っ」
足を止めて壁に寄りかかる
言いようの無い感情に心が蝕まれていく
恐怖にも似たそれに、体の震えが止まらなかった
俺は...まだ許されない
この苦しみから、逃れてはいけない...
「恵っ!」