第3章 変人
主人公side
「それは断る」
「何故だ?良いじゃないか」
「私は武人だ」
「それはそれ、これはこれだろう」
何故私はこんなくだらない会話をしているんだ。
私、ユミカは目の前にいるこの男と、不毛な会話を続いている。この男とはシンドリアの国王、シンドバッド王である。
「とにかく、私はその服は着ない」
「この服が気に入らないのか?可愛いのに。きっと似合うぞ」
「その服が可愛いのは認める。が、私が着る理由にはならない上に、損する要素しか詰まっていない」
「子供が損するとか夢の無いこと言うなよ」
「五月蝿い。余計なお世話だ」
ニコニコと笑うシンドバッドを睨みつける。私に友好的な笑みなど通用しない。
「何でそんなに嫌がる。」
「嫌だからだ」
困った顔をしているが、私はそれに動じる程甘くは無い。
シンドバッドが持っているのは、シンドリアの女性用に作られた服。露出度の高めな。
確かにあれは可愛い服だ。だが、私に着させようと思う神経が分からない。
「あれ?ユミカ何してんの?」
通り掛かったクオンとスー。
「こいつが、似合わない服を、着させようとしてくるんだ」
苛立ちの形相で言えば、クオンに頭を叩かれる。
「馬鹿!こいつとか言うな!本当に常識ない」
「馬鹿の奴が馬鹿っていうのは、どうかと思うよ」
「誰が馬鹿だよ!」
私もスーの意見に同感だ。馬鹿に馬鹿と言われたくない。
「静かにしなよ。王様の目の前で、みっともない」
「!!!も、申し訳ありません!!」
顔を蒼白にし、必死で謝るクオンは少しウザい。
「もういいよ。気にしてない」
「そうか。気にしてないのだな。では、私はこれで失礼する」
足早に立ち去ろうとしたが、シンドバッドに肩を捕まれる。
「おい、この手は何だ」
渋面で言うと、クオンとスーも意味を理解したようだ。
「シンドバッド王。そいつにそれを着させるのは、諦めた方がいいですよ」
「辞めた方がいい」
死んだ魚の様な目で、私を見るのは何故だ!
「リカル君呼んでみたら?」
は?何でリカル?