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【暗殺教室】これでも私は

第4章 現状



「鶫ちゃん、何したの?」
「済まない。仕事の都合上言えないんだ」

友達に聞かれた事さえ、まともに答えられないとは。申し訳ない。

「ううん。気にしないで。大変だね」
「ああ、最近は特にな」
「一ノ瀬さん、顔が怖いです」
「なんだとタコ。年頃の少女に向かってそれは無いだろう。だいたい、私の顔が怖いのは、生まれたときからのものだ。別に私のせいじゃない」

カエデと楽しい会話をしていたのに、邪魔をしてくれるな。気の遣えない教師だなあ。

そこで、朝のチャイムが鳴る。

「規律!」

慌てて自席に戻り、クラス全員が対タコ用のBB弾の入ったマシンガンを構える。

「きおつけ!礼!」

一斉に引き金を引く。BB弾の雨の中、それ全てを避けてしまうのが、この黄色いタコなのだ。だから私は足元を狙って、体勢を低くし撃つ。それと同時に天井に一発。天井からBB弾は誰かの机に跳ね返り、それまた誰かの撃ったBB弾に当たって軌道を変える。

「おっと、足元を狙いましたか。でもまだまだーーーー」

途中で言葉が途切れる。触手の一本が弾けたからだ。

勢い良く立ち上がり、BB弾の雨の中タコに向かって直進する。そのまま引き金を引きつづけた。途中、壁や黒板にBB弾を撃つ。

「はい、時間切れ。片して席に着いてください」

チッ。駄目だったか。自信は有ったのだがな。触手一本だけか。つまらん。

「壁とか天井に撃ってたけど何で?」

後片付けの最中、渚君が私に聞いてきた。

「あれは跳弾というんだ。普通な銃弾なら、相当難しいがBB弾なら跳ね返り易いからな。角度とタイミングと銃を扱う技術がそこそこあれば、君にも出来る」

私が言った事をメモに執る渚君。随分と勤勉家だ。

最近、初めて学校に来るのが楽しくなった。学校という施設が、必要性の高いものなのだと知った。ここに派遣されてから、初めてのものが一杯出来た。友達もその中の一つだ。

それと同時に、私はすぐにそれを手放す事になるかもしれないと想うと、怖くなる。寂しくなる。悲しくなる。辛くなる。

勿論、そんな不必要な感情はすぐに捨てる。

そして私は何時も、ムカつく隣の席の奴に暴言を吐くのだ。でもそれが、結構習慣化している気がする。


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