第6章 最終話
「キャァ、――――ああ、あんっ、アアぁ―――!」
私の嬌声が、赤の他人のそれのように、聴覚が感知する。私の中にある醒めた部分だけが、しぶとくもまだ独り言(ご)ちている。
――――私ね、別に、他人と比べてさ、優れてるとことか、なんか勝ってるとことかさ、何もないし。昔から。社会人になってからなんて、もっと。周りの子はみんな、すごくお洒落だし、なんか男の人とも、うまくやれてる、みたい。
「気持ちよさそうですね。」
一瞬だけど、セバスチャンさんのまとう雰囲気が変わったような気がしたけど、私はもうそれどころじゃない。
「ひゃ、―――――う、やめ、―――――ぁ、」
――――でもさ、私、うまくやれる自信、全然無い。ちょっとは挑戦してみたけど、全然だめだった。男の人が、痺れを切らしちゃう。私の思ってることも考えてることも、全然わからないって、さ。
「でも、ここは随分と素直ですよ?」
もう、一番ダメな部分が、細い指で撫でられて、その快感に、私はどうしていいか分からない。
「ふぅ―――、ぁ、も、ぅ―――」
――――だから、諦めようって、何回も。私は、男性と付き合うことに、てんで、向いてないって、そういうこと。私、駄目な奴。そんな臆病な奴は、一人で生きる覚悟、決めなきゃいけない。それで、お金を介在させないで得られる、えっちなこととか、そういうきもちよさとかも、同時にあきらめなきゃ、いけない。そんでもって、そういうことをあきらめたぶんだけ、じぶんをじぶんで完結させる腹を、くくらなきゃ、いけないの。気付いてたよ、分かってたよ。ゆめみるじゆうはあるけど、もうここまできて、まだかなわないユメをみるなんて、ねぇ?