第6章 最終話
「セバ、ス、―――、チャ、さ―――?」
熱い。からだが熱い。もう、からだはどうしようもないくらいに熱くて、液体を垂れ流して、すごいことになってる。気持ちよくて、意識が飛びそう。頭の僅かな部分を残して、私はもう、おかしい。
だからなのかな、セバスチャンさんの瞳が、随分と紅い。前に、ジュエリーショップでルビーを見たことがあるけど、そんなもの比べ物にならない位に、綺麗。
「なるべく、痛く無いようにしますね。」
獣性を覆い隠すような優しい声音。ああ、そうか。セバスチャンさんは、――――そういうこと、ね。
不思議と怖くはなかった。
それどころか、不思議と私の口角は上がっていた。
「―――ん、ありがとう、ね。」
―――――だって、わたし、おんなとして―――――
わたしは、最期まで消え残った思考をとうとう手放しながら、目を閉じた。
Fin.