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ハコの中の猫 【黒執事R18】

第6章 最終話


 ローションを開封してみる。特に、何の匂いもしない。わずかに粘性のある冷たい液体が、私の手の平に垂れた。そのまま、袖をめくりあげて適当に塗りひろげる。セバスチャンさんは、そんな私の様子をじっと見ている。別に私の体はセクシーでも何でもないのだから、見られたところで何もないのはよくよく理解しているけど、流石に落ち着かない。

「背中、塗りましょうか。」
「せ、せな?」

 まともな返事をするより先に、またもや抱きかかえられベッドに降ろされる。今回はうつ伏せ。

「ふっ!?」
 服と背中の間に、セバスチャンさんの手がローション付きで入り込んでくる。いつの間にか私の手からはローションが消えていた。少し低い手の温度が、火照った体には心地良い。最初はドキドキしたけど、触られていく感触にも慣れていく。大きくてがっしりとした手に触られることが、一種心地良くもなってきた。

「気持ちいいですか?」
 セバスチャンさんが、優しい低音で話しかけてくる。ちょっとしたマッサージを受けている気分。
「は、はい……。」
 少し眠くもなってきた。

「?」
 不意に、セバスチャンさんの手が止まる。


「……?」
 何だろう。何か、腰のあたりで手の動きが変わってきた。最初は、軽く触れるように。次第にその動きが腰のラインをなぞるような、執拗なものに変わっていく。薄っすらと感じていた眠気も、瞬く間に薄れていく。嫌でも、私はその感覚に意識を集中させてしまう。

「あの、セバ、ス、チャン、さん?」
 やっと絞り出すようにして声を出す。

「はい?」
 セバスチャンさんの声に、特に悪びれたような感じはない。私の自意識過剰?その声に合わせるようにして、意識をクールダウンさせる。

「あ、あの、もう結構です。ありがとうございました。気持ちよかったです。だから……」
 両手をついて、上体を起こしかけたところで、体の向きを変えられ、そのまま仰向けにさせられる。

「ひゃ!?」
 咄嗟のことにびっくりする私。気付けば、セバスチャンさんが私の首元に顔を埋めている。呼吸がダイレクトに伝わってきて、私はそれだけでゾクリと身震いをしてしまう。

「あ、はぁ……?ど、どうしたんですか?」
 私の声は完璧に上ずっている。セバスチャンさんの表情は、私からは見えないけれど、何となく、わらっているような気がするのは、気のせい?
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