第5章 第5話
昨日が終わって今日になったが、私はいつもと変わらず仕事をしている。こうしていると、昨日のことなんて全て現実にはなかった、夢の中の出来事のように思えてしまう。けれど、休憩時間に携帯電話を見ると、この前とは違って、着信履歴と実際に受信したメールが残っているのだ。しかも、電話帳には連絡先が登録されている。
「――――仕事中、仕事中っと。」
あまり深くまで考えていては、仕事にならなくなる。気合いを入れ直して、今日の仕事を終わらせるべく、意識をそちらに向ける。
結局、今日も遅くなってしまった。簡単に食事を済ませ、風呂に入って髪を乾かしていた時のこと。耳元でやかましいドライヤーのモーター音に交じって、聞き慣れた着信音がする。仕事のメールだったら最悪だな、なんて思いながら、一旦ドライヤーを止めてメール画面を開く。
『夜分遅くに恐れ入ります。お仕事お疲れ様です。
昨日はお付き合いいただき、ありがとうございました。
お陰様で、私の仕事も予定以上に進んでいます。
さて、今週末の金曜日に、ご予定などありますか?』