第4章 第4話
「こちらのお部屋にどうぞ。」
可愛らしい女性店員さんに案内されて、少し狭い部屋に入るセバスチャンさんと私。
「申し訳ありません。只今、他のお部屋が満員でして、こちらのプライベートルームで構いませんでしょうか。」
「はい、大丈夫です。」
セバスチャンさんは、もう猫に夢中なので、私が勝手に進める。本来、このプライベートルームは、予約のお客さん用とのことだが、予約のお客さんに挟まれた時間帯だったため、偶然通されたらしい。余談だが、猫好きのカップルなんかに利用されることがある部屋らしい。私はどうリアクションを取って良いか分からず、微妙に据わりが悪いような気持ちになる。私なんかがセバスチャンさんと、なんて少しでも思うこと自体がおこがましいこと極まりないのだけれど。セバスチャンさんは、さっき受付で見つけた黒い猫ちゃんを膝に乗せて、目を輝かせている。私は、注文したサンドイッチを勢いよく食べ、カプチーノで流し込んだ。セバスチャンさんは、相変わらず黒い猫ちゃんに夢中なようで、こちらなんて見向きもしない。……ほんの少し、寂しいような気がする。そりゃあ、私なんて、そう魅力も無いし、いい歳してこんなだけど。あーあ、なんか切なくなってきたな。別に、セバスチャンさんと私なんて、百パーセント釣り合うことが無いし、その証拠に、セバスチャンさんは私を眼中になんて入れてもくれないけど、でもそれでもこうやってその現実を実感することは、やっぱり切ないような……
「に゛ゃ゛――――――!」