第3章 第3話
ストーリーは、それほど難しいものでは無かった。簡単にまとめると、身分違いの恋物語だった。上流階級のお嬢様と、身分の高くない騎士が、ひょんなことから恋に落ちるという話。お嬢様は上流階級で別の婚約者もいるけれど、あまり他人に対して心を開こうとしない性格。一方の騎士は真面目な性格で、苦労を重ねながら騎士として大成していく。さまざまな困難を乗り越え、お譲さまは騎士に心を開くようになる。騎士は周囲から身分違いの恋をいさめられながらも、彼の努力によって騎士としてその実力を認められていく。物語途中には、お嬢様と騎士が秘密の逢瀬をする場面もあってドキドキした。クライマックスではさらなる困難が二人を襲うが、見事に乗り越えてハッピーエンド、といった具合だ。こうやって言葉にしてしまうと身も蓋も無いが、俳優たちの演技、細かな演出、緩急の付いた観客を飽きさせない展開に、思わず目頭が熱くなってしまった。
映画終了後は、しばらく頭がぼうっとなってしまい、私はあまり言葉を発さないまま、セバスチャンさんに手を引かれて、近くの喫茶店に入った。