第14章 料理クラブ【紫原 敦】〈アンケート〉
よく見れば、机の上にはホールのケーキが置いてあった。今回、柚が作ったのがホールケーキだった。
「これ、柚ちんが作ったんだ~。凄いね~。」
紫原の発言で、柚はコクコクと照れくさそうに頷く。紫原は、今でも食べたそうで目をキラキラと光らせていた。それに気付いた柚は、クスと笑う。
「ねぇ~、柚ち~ん。これ、食べていい~??」
そう柚と紫原以外は、誰もこの家庭科室にはいない。柚のクラブがあると、紫原はいつも誰もいない時間に訪ねては、食べるという習慣があった。
勿論、柚は断る理由もなく、コクと首を縦に振るが未だ抱きついている紫原に不思議に思っていた。
「ついでにさ~、柚ちんのことも食べていい~?」
いきなりの紫原の発言に、目を見開く柚だ。当たり前の話だ。いきなりそんな事を言われても誰もが驚いてしまうのだから。
食べては駄目ということで、柚は首を左右に振る。その反応に、プク…と頬を膨らます紫原。紫原の顔には、なんでよ~…と不機嫌な表情をする。