第12章 雪の中で【氷室 辰也】〈アンケート〉
氷室の自然な仕草だった為、雪掻きを始めた瞬間に、驚きを隠せない柚。柚は、雪掻きをしている氷室を止めようと、服をクイクイと引っ張る。
「ん?『生徒会の仕事だから、やらくていいよ』って言ってるけど、この雪の量…1人で出来るのかい?」
氷室の最もな意見に、何も言い返せない柚に対して、氷室は微笑みながら柚の頭を撫でる。
「手伝ったら、早く終わるじゃん。毎日見てるけど、大変そうだからオレも手伝いたいと思っていたんだ。」
氷室の意外な言葉に、柚は目を丸くさせる。氷室は毎日のように柚を見ていた。しかし、柚は生徒会の仕事で気付いていなかったのだ。
やがては、柚は諦めたのか違う道具を持ってきては、雪掻きを始めるのだった。その様子から、嬉しそうに微笑む氷室の姿があった。
暫くして、やっとの思いである一定の雪が端に避けていった。ふぅ~…と息を大きく吐き出した柚は手伝ってくれた氷室にお礼を言う。
「どう致しまして。おっと、そろそろ時間みたいだね。」
氷室は、自分の腕時計を見てからそんな事を言う。