第9章 距離感【笠松 幸男】〈アンケート〉
柚は、クスクスと笑いながら笠松に、あることを提案し始めた。
「え?『女子苦手を直す為、距離を少し縮めないか?』って……ど、どうやって……。」
柚の提案に戸惑いを見せる笠松。濡れた手をハンカチで拭く柚が次にとった行動は、笠松の右手を握る。
「な、なななな何やって…んだよ!」
笠松は、顔を茹でタコみたいに赤く染めてかなり、パニックている。それに気付いた柚は、クスと1つ笑みを零してはすぐに手を放す。
「『このぐらい慣れないと…。』って、む、無理だ……。」
柚の提案に拒否ってしまう笠松。洗った物を片付けようと、柚は流しから離れようとし、笠松に一度頭を下げてから離れていった。
その姿を茫然と見ていた笠松だったが、すぐに表情を戻しては苦笑をしていた。翌日、1日の学校が終わり、柚はマネージャーの仕事に取り掛かる。
「柚っちーーーー!」
黄瀬は、柚の名前を叫びながら抱きつこうと全速力で、走ってくる。それを遮るように、笠松が黄瀬に跳び蹴りをする。