第8章 届いて…【黄瀬 涼太】〈リクエスト〉
黄瀬もスマートフォンを使っては、お互いに自己紹介をする。これが、2人の出会いだった。黄瀬は、もっと柚を知りたいのか、手話を勉強することになった。
勿論、手話の相手がいるというのは柚にとってはとても嬉しかった。今まで、スマートフォンをずっと打ちながら会話というのは、ある意味辛かった。
しかし、そんな幸せは長く続かなかった。季節が秋へと変わっていき、冷たい風が吹く。柚は、いつも通りに過ごしていたがある日のことだった。
突然と親の都合で、海外へと引っ越さなくてはならなかった。1人暮らしでもできる年齢だった柚だが、やはり耳が聞こえないという障害を持っている為、1人で過ごすことはできなかった。
今日で黄瀬と最後の下校だった。だから、今でも泣きそうだったがそこは堪えるばかりだ。それに気付いた黄瀬は不思議な表情をする。
「どうしたんスか?柚っち?」
黄瀬は、華麗な仕草で手話をしながら柚に問い掛ける。
Q貴方ならどうしますか?
→ごめんね、引っ越さないといけないの。(50ページへ)
→なんでもないよ、大丈夫だよ!(51ページへ)