第29章 クリスマスプレゼント
真田側
皆が帰った事を確認してから俺は風呂に入り自分の部屋へと戻る
机の上には小さな段ボールが乗っていた
クリスマスパーティーをしている最中に郵便が届いた
だが俺に届けられたと言うのに赤也と丸井が箱を開けようとしたので
そのまま自室の机の上に置いてパーティーを楽しんだ
若干忘れていた段ボールを手に持ち書かれてある物を見る
男らしくも女らしくもない丁寧な字で俺の名前などが書いてある
それを剥がしガムテープを外すと
中には青いケースと白い封筒が入っていた
真「なんだこれは?」
青いケースよりも白い封筒を覗くとどうやら文のようだ
【真田弦一郎様へ
いかがお過ごしでしょうか?急にこのような手紙や小包が届いて驚かれたでしょうか?あなたの事でだからこの手紙に見覚えがないと思っているでしょう。私は今でも忘れずに思い出します。今回このような物を届けたのは私からの誕生日プレゼントです。出来れば大学にも付けて行ってくださいね。ネックレスですからね。
白川氷月より】
真「氷月から、だと...?」
では、彼女はまだ生きているのか
俺は心底ホッとし空を見上げた
まだこの空の下で生きている事に安心する
彼女から送られた小さな青い箱の中身は
緑色に輝く石が銀のチェーンについていた
それを持ち上げてチェーンに触れる
真「よい輝きだ」
石から何かを感じる
暖かい物が伝わって来る感覚だ
その石を見るだけ彼女の笑顔と思い出す
彼女にどれだけ世話になった事だろうか
無理やりマネージャーをやらせてしまい、命まで助けて貰った
どんなに下らん相談事を何度も言ってしまったのだろう
我ながらに恥ずかしい事を彼女の前でやっていたと思う
守る側の男が女に守られるなどな
だが、彼女と過ごした時間は大切な思い出だ
忘れるわけにはいかん
俺は今日1日運動していない事を思い出し
彼女から貰ったネックレスを机の上に置いてから
ジャージに着替えて走り出す
真「ム」
丁度そらから白い物が降ってきた
立ち止まってそれを見ると雪である
今年はホワイトクリスマスにはなりそうもないだろ
《待ってて》
不意に彼女の声が聞こえた気がする
皆はお前の事を待っているぞ
俺は何時もよりも長く走った