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ゲームはお好き?

第28章 別れと分かれ


幸村精市には、アクアマリン

真田弦一郎には、エメラルド

柳蓮二には、ムーンストーン

柳生比呂士には、オパール

仁王雅治には、タンザナイト

丸井ブン太には、ダイヤモンド

ジャッカル桑原には、トパーズ

切原赤也には、サファイヤ

水島奈々には、ルビー

これらを見て私のしたい事がわかるだろうか?

これは2ヶ月前の出張先のお礼として貰ったものだ

さらにそれを加工してもらった

宅配用の申込書に久しぶりに日本語を書いていく

蓮二から貰ったメモ用紙には皆の2年前の住所が書きだされている

大学へ行っても寮生活をしないと聞き

もしかしたら引っ越しもしないかもしれないと勝手に思っている

それでも送るのは本当に私自身が今を生きている事を伝えるためだ

手紙は、近状報告はなしで体調の事を書く事にしてある

小さな箱に9つ分小分けし、段ボールに詰めていく

9つの段ボールに間違えないようにそれぞれの手紙を添える

蓋を閉めてガムテープでしっかりと固定する

出来た9つの段ボールを見てホッとする

島「出来たか?」

『はい』

後ろでは静かに島崎さんが見ていてくれた

島「お前は人思いが強いな」

『そんな事ないですよ』

島「それで自分の命を危うくするんだ。違うとは言わせない」

『...はい』

先月は大同さんと出張に行った

その時、少しだけ怪我を負ってしまっただけだ

島「あれは大同が悪い。お前はお前の出来る事をやっただけだ。ただ、自分を犠牲にするなと言っている」

『わかっています』

無表情で告げられる言葉は長い針のように鋭かった

島「さて、運ぶぞ」

『はい』

小さな段ボールに思いを込めて

これらが必ず彼らの元へ届きますように

私は心の底から信じています

裏門を使って紫電さんの元へ向かう

『お待たせしました』

紫「俺も今来た所だ」

真っ白な白銀の世界

彼の頭を思い出す

フサフサで少しだけくせっ毛がある、尻尾の長い彼の髪を

吐く息が白く、外は本当に寒い

校庭では大きな木が運ばれて飾り付けが行われている

今年もホワイトクリスマス

島「じゃあ行くからな」

『はい』

紫「絶対に今年で卒業しろよ」

『わかっています』

小さくなる2人の背中を見送りながら

彼らの手の中にある小さな段ボールが羨ましかった
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