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ゲームはお好き?

第23章 新しい事


再びベットの仰向けで倒れ込むと扉が静かに開いた

倒れ込んだ時のベットの軋む音でノックの音は消されていた

静かに開いた扉からは予想していた人物が

綺麗な銀髪、愛おしい存在が部屋に入って来た

瞼を閉じて彼を待つ

今見たら、きっと泣いてしまうから

何故かはわからないが泣いてしまうから

仁「氷月」

優しく掛けられた声に瞼を持ち上げると

その言葉と並行した優しい柔らかな笑みを零す彼が

私の顔を覗きこんでいた

首には私がプレゼントしたただの透明なガラス玉がぶら下がっていた

私はそれに手を伸ばしてそれに触れた

直接日光に当たっているのにも関わらずそれは冷たかった

病院内のクーラーに当てられて冷えたのだろう

『私は透明が好きです。どんな色にも染まってしまうけど、どんな色からも生み出されない色であるから』

仁「そうか。俺は青色が好きじゃ。お前さんの目の色見たいに澄んだ綺麗な青い色がな」

彼は私の頬に触れてそう言った

仁「抱きしめてもいいか?」

『いいですよ。勝ってくれた、いえ、待ってくれたんですから』

上体を起こして仁王君の方へと向くと

視界が一気に黄色に変わった

そこから香る彼の汗の匂いと香水の匂いが私の何かを満たしていく

背中に回された彼の腕が震えていた

次第に強くなっていく彼の腕は、今まで待ってくれた

いや怖かったのだろう、そんな気持ちが伝わってくる

仁「怖かった。お前さんが記憶を取り戻して前のような自殺願望者になる事が、俺を締め付けておった」

『...うん』

仁「じゃが、今のお前さんを見ておるとそんな心配はいらんがどうしても思ってしまうんじゃ」

『......』

仁「覚えておるか?記憶を失っておった自分の事を」

『覚えているよ。しっかりと』

仁「俺の目の前で食事をするお前さんが怖かった。また辛そうに吐き出すんじゃないかと思って。じゃけど違った。しっかりと喉を通っていくそれを見ておると酷く安心したんじゃ」

『うん』

仁「お前さんが食べ物を口に出来る事知った時は嬉しかった。...右目は、見えておるんか?」

『見えてるよ。あの時とは条件が違って焦点が合っているんだ。だから、雅治の顔もしっかり見る事が出来るよ』

仁「そうか、よかった」

そう言って腕の力をさらに強めた
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