• テキストサイズ

ゲームはお好き?

第3章 信用


息を必死に整え、涙を貯めておる目は俺を見つめる

『そう言うのは、好きな女性にやったらどうかな?』

俺の胸から2つの鼓動が伝わって来る

仁「俺はお前さんが好きなんじゃよ」

『同情?それとも哀れみ?』

今の話を聞いておればそんな感じになるのもわかるじゃろう

じゃが、俺は同情もしておるかもしれん

仁「違う、と言っても信用するかしないはお前さんに任せる。じゃが、俺は本気でお前さんが好きなんじゃ」

『......』

濁ったダークブルーの瞳には俺の真剣な表情が写っておる

こんな形で告白するとは思っておらんかった

今、氷月は何を考えておるんじゃろう

俺の事を考えてくれておるのだろうか?

それとも、俺の事を馬鹿だと思っておるのだろうか?

どちらでもいいがな

『そうなんだ、知らなかった』

仁「返事は貰えんのか?」

『サバイバルゲームで生き残ったらにしてくれないかな?』

仁「嫌じゃ」

『なんと我儘なガキなんでしょうか』

仁「何度言っても同じじゃ。返事、くれんか?」

『...フ、私は雅治の事が好きですよ。この家族で最初に心を開けたから。あの日はありがとう』

仁「ありがとさん。このまま一緒に寝んか?」

『此処までガキだとは思ってなかったよ』

仁「お前さんとは1ヶ月しか違わんぞ」

『その1か月の差では?』

仁「俺は此処で寝るからな」

『重いから。せめて横にして』

仁「と言う事は?」

『!はぁ、わかったよ』

仁「ん」

氷月の体からどいて部屋の照明を落とす

月の光が部屋を照らすがそこまで明るくはない

氷月の隣へ入り込み布団を被れば

氷月は俺の胸の頭をつけ

自分の胸の前で両手を握れば寝る体制になった

仁「お前さんも寂しかったんか?」

『冗談、と言いたけど。うん、寂しかった』

仁「そうか」

月の光で幻想的な色に輝く髪を触れ

儚い微笑みをして瞼を閉じる氷月の顔を覗く

少しの時間が経てば氷月は夢の世界へと入っていった

キスだけで歯止めが効いた俺を自分で褒めてやりたいくらいじゃ

あのままだったら確実にやっておった

じゃが、あのままやればコイツの体は生きておったのか

己のやった行為がコイツを殺していたのかもしれないと思うと

背中に嫌な汗が浮かんだ
/ 321ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp