第21章 夕方
全ての試合が終わり午後の試合を見るために昼食を取る
夏は暑く、動いたのにも関わらず中々食事が喉を通らん
そんな俺に比べ赤也やブンちゃんはもりもり食っておる
梅干し入りの母さん特性おにぎりを2つ食い終わり
奈々から返された携帯を眺めておる
俺、どれだけアイツに溺れておるんじゃろうな
むしろ依存しとるような感じじゃのう
自然と自分を鼻で笑ってしまう
水島「どうしたの?」
仁「何がじゃ?」
水島「だってさっき笑ったじゃん」
コイツもコイツで厄介者じゃ
俺達の表情を細かく見ており、相手の異変もよく気づく
頭は悪いが、そこら辺の目もいい、氷月には劣るがな
仁「溺れておるんじゃよ」
柳生「仁王君...」
食い終わった柳生が弁当を鞄にしまった
仁「俺はアイツに溺れておるんじゃよ。これは依存レベルじゃと思ってな、そんな俺がおかしかったんじゃよ」
水島「なんで?」
純粋な目で俺を見る
本当に知りたがっている目じゃ
奈々のこの目には誰にも逆らえない、幸村でも氷月でも
水島「私達はまだ子供だよ。素直な感情を持ってもいいんだよ?溺れたって、依存してもいいんだよ?私達はそうしないと生きていけないんだもの」
頭が悪いのに人の感情を自分に置き換える事が出来る
奈々にも氷月にも精神的方面ではかなり助かっておる
それはこの立海テニス部レギュラー陣が一番理解しておることじゃ
水島「雅治が氷月の事を大好きで、もうそれは依存のレベルでも誰も笑わないよ。あの事を知っている人達なら絶対に。私だってね氷月の事が好きで依存まではしてないけどいなくなったら寂しいよ。それは此処にいる皆がそうなんだよ」
仁「奈々...」
水島「氷月が家族以上に大事で大切だったら心配いらないよ」
奈々が軽く微笑みを零せば他の皆も一緒じゃった
仁「おん」
俺の持っている携帯が震えた、急いで開きディプレイを覗くと「白川氷月」の文字
仁「氷月、どうしたんじゃ?」
『に、おう、くんっ!た、す、けてっ!』
仁「氷月っ!」
とても苦しそうな途切れ途切れの言葉じゃった