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第12章 4つ目


氷月を抱きながら顔だけを後ろに向けると

フラフラと立ち上がった女子生徒は腕を強く押さえていた

顔をは下を向いているためにどんな表情をしているのか確認出来ない

切られた腕は廊下の真ん中に無残に放置されている

切れ目から赤い液体が出ていない

私にとっては逆に怖かった

「よくも...よくもやってくれたわねっー!!」

女子生徒は顔を上げると怒りに満ち溢れた表情で結界に飛びついてくる

『ダメだよ』

氷月は小さく呟く

女子生徒は今までにないくらいの勢いで結界から弾かれ

バキッと言う効果音を残しながら壁に激突した

『悪意を持てば持つほど、此処には近づけない』

相手の悪意に反応してこの結界の威力は上がっていく

先程までは悪意の欠片はあってもそこまで協調される事がなかったから

結界に多少弾かれたいた

だが、裂け先生が腕を切った事により

そこから怒りが溢れ、それは悪意となり変わったのだ

『奈々、いい?』

氷月の細い腕は私を離すと扉に静かに近づいて行く

水島「氷月...」

私はそれを見る事しか出来なかった

今すぐに動いて、その背中を捕まえて

留まらせたい、そんな気持ちになった

そっちに行ってはいけない、そっちに行かないで

氷月は氷月のままでいてほしい

今まで苦しい思いを1人で全部抱え込んでいたんだ

神様、どうか私の友人を連れて行かないで

私はどうなってもいいから

あの子を、氷月の人生をこれから幸せにしてほしい

幸「奈々」

水島「精市」

静かに隣に立った精市は私の肩に手をのせて

いつもより優しい声で私を呼んだ

氷月は静かにアイツに近づいていく

扉の一歩手前で止まり力なく壁に背を預けて座っている女子生徒を見下している

怯えている背中は小さくて辛そうで

『君は何を迷っているんだい?変装している人物の気持ちの事?変装している人物の次の行動?それとも...』

氷月はそこで一区切りつけた後

静かに何かを言った

怒りに満ち溢れていた女子生徒の表情は

驚きに目を見開き、まるで自分の事が全て知られたような感じになっている

私だってそうなった事が何度かあるから

相手の気持ちがわかってしまった
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