第12章 4つ目
【『彷徨う影』を知っているかしら?とある女子生徒は他人になりすます事が得意だったの。相手の些細な仕草から音域、さらには性別までもを変える事の出来るピエロだったのよ。両親はサーカスで世界各地を回っており、祖父母に育てられながらも自分も両親と同じ場所に立ちたいと練習を積み重ねていった。いつものように登校してこれば友達が1人いない事を知った。家に電話したら学校に行ったと母親が言っていた。学校の授業が終わり帰宅部の女子生徒はいつものように帰る。帰り道の途中で警察が通行止めをしていた。なんでも、とある女子生徒が暴力団によって殺されたのだと言う。別の道で帰り家についてテレビを確認すれば、殺されたのは女子生徒の友人であった。昨日の下校時に彼女になりすまして暴力団と1戦交えた事を思い出した。罪悪感に捕らわれた女子生徒は次の日に学校の屋上から飛び降りたのであった】
幸「どっかの詐欺師に似ているね」
仁「俺がやるのは校内だけじゃ」
柳生「それだけでも迷惑なんですが」
いつものように蓮二が読み終えると雑談が始まる
ドッペルゲンガーとかではないのか
大「彷徨うって事は」
不「徘徊しているんだろうね。校内を」
越「探すのに手間がかかりそうッスね」
そんな訳ない
扉の前にはそれらしいのが立っている
蓮二が読んでいる時から何か感じていたからだ
多分、それは扉の前にいるのに違いない
この場を動かずに解決出来るなんて嬉しい事じゃないか
校内を徘徊しているからこそ探すのに手間が掛かるのに対し
それは今、保健室の扉の前にいる
後は物理的対話を果たすか、相手の希望を果たすかの問題だ
『蓮二、ヒントは?』
柳「お前からそのような言葉が出るとはな」
『早く解決したいからね』
【迷う理由は?】
迷う理由?
それは変装をしている事?それとも罪悪感から?
真「それで、今回は誰が出向かうのだ?」
『その必要はないよ』
丸「まさか、此処まで来て1人で行くとか言わねえよな?」
『1人で行きたいのは山々だけど、それ扉の前にいるから。多分』
「「は?」」
『4つ目の七不思議は、今、保健室の扉の前に立っていると思うよ』
海「どう言う意味ッスか?」
『どう言う意味も何も、いるんだからしょうがないじゃん』
なんで扉の前に立っているかなんてね
こっちが聞きたい知りたいよ
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