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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第9章 居なくなって初めて気づいた


更衣室の扉を開けたところで海堂がぴたりと立ち止まり動かない

海堂「これ以上は行けねえ」

そう言って私の手を振り払おうとしている

私は海堂の手首を握り直し、真面目な顔で尋ねた

「海堂、気づいてるんだろ?私のこと」

海堂は大きく目を見開いた

そして気まずそうに小さく頷いた

私と一人称を変えたのはわざとだ

海堂が気づいていたことなんてさっきのアレで感づいていた

「軽蔑した?」

私の問いに彼は全力で首を横に振って否定してくれた

「ならいい。詳しい話は明日するんだろうし。んじゃ、入るぞー。」

私は無理矢理海堂を引っ張って更衣室に入れた

彼が軽蔑しないでくれるなら何でもいい

今はそれだけで幸せなんだ

海堂「だからこそ…!!」

だからこそ一緒には入れないと言いたいらしい

「海堂がちょっと非常識に目をつぶってくれれば問題ない」

そう言うと首をかしげている

その脇を通り抜け、替えのバスタオルを1枚取り出した

「巻いたまま入っていい?」

そう尋ねるといつの間にか茹だっていた顔が更に赤みを増していた

海堂「それは構わねえが、そういう事じゃ…」

さっきからとても歯切れの悪い言葉が出てくるが、言いたいことはわかっている

「いいから!寝る時間なくなっちまう」

そう言うと手近な籠に荷物を置いた

海堂は呆れて私の後ろの籠に荷物を置いていた

呆れたというより、諦めたんだろう

私は汗まみれになったシャツを脱いで短パンを脱いだ

自分で誘っておいてなんだが、後ろから聞こえる衣ずれにドキドキする

海堂は下にタオルを巻いてさっさと浴場へと入っていった

私も慌ててサラシを外し、バスタオルを体に巻き付けて後を追った
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