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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第9章 居なくなって初めて気づいた


現在私達は背中合わせに室内風呂に入っている

いくらバスタオルを巻いているとはいえ、肌を露出しているのだ

お互いなんだか気まずくて顔を合わせることが出来なかった

「「……………」」

沈黙が苦しくなった頃ぽつりと海堂が何かを呟いた

海堂「ーーーーっ…。」

「え?なに?」

殆ど聞き取れず、私はつい後ろを振り返ってしまった

自分の状況を思い出して“しまった”と思ったが、チラリと見た海堂は身体をこちらに向けていた

ただ、視線はきっちりと違う方へ向けていて

こちらを見ないように配慮しているらしい

私もつられて違う方へ視線を向けたが、覗き見た海堂の筋肉質な身体にドキドキとした

そんな不埒な考えに、脳内で叱咤しているともう一度海堂から言葉が漏れた

海堂「お前は、青学でテニスを続けたいか?」

私はぴくりと肩を跳ねさせた

彼の質問の意図が見えない

だが私の答えなど、とっくに決まっている。

覗き見た海堂の瞳はとても真剣で、応えを求めていた

「俺は、青学のみんなと全国で優勝したい。今年も、来年も。」

そう強く意思を伝えれば、彼の身体から少し力が抜けた

柄にもなく緊張していたのだろうか?

彼にとってこの質問はどういう意味を持つのか途端にわからなくなった

海堂「なら明日…いや、もう今日か。午前9時にD施設の談話室にこい。…というか一緒についてこい。」

指定された場所に小首を傾げた

D施設の談話室?

海堂は湯舟から立ち上がると出入り口の扉の方へ向かった

海堂「先上がるぞ。明日絶対来い」

扉を開けて更衣室へ向かう海堂にとりあえず頷いてみたものの、何の用だかさっぱり検討がつかなかった

私も湯舟から上がり、シャワーを浴びてから浴場を後にしたのだった。
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