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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第9章 居なくなって初めて気づいた


しばらく待たされてから扉が開いた

「食堂行こう」

そう言うと聞いているのかいないのか

人の顔をまじまじと見ている

自分の片思いを認識した私は、なんだか目線が合わせられなくて

顔に穴が開きそうだなんて思いながら目線を泳がせた

「桃にも見られたけどそんなに女顔かな」

目線を逸らして欲しくて言った言葉に

何故か海堂は悲しい顔をした

「海堂?」

名を呼べば目線は外され、廊下を進んでいく

小さく呟いた“行くぞ”という言葉に、とても悲壮感が漂っていて

その理由を聞けずに隣に並んで歩いた












「お腹すいたー」

そう言いながら食堂の扉を開く

私達は誘拐事件のせいでお昼を食べ損ねていた

真田「お、来たか。海堂、体調はどうだ?」

真田先輩が隣を勧めながら海堂に話しかけている

そこに海堂は座り、一度もこちらを見なかった

そんなこと普段なら気にしないのに

私はこっちをみてと矛盾したことを思った

きっと見られても視線を外してしまうけど

私は忍足さんの隣にお邪魔するとメイドさんにお礼を言ってから

食事を取ることにした

空腹には勝てず、やたら豪華な食事を食べ進めながら海堂を見ていた

彼の鼻はすっと通っていて

肌が綺麗で

普通にしていれば目は怖くない

むしろ可愛い

いや、可愛いってなんだよ

ついに自分の頭はお花畑になったのかと

発症した病に頭を抱えたくなった

忍足「自分、なんで百面相しながら飯食うとるん?」

ですよねー

「いや、お構いなく。持病ですから」

そう真顔で答えるとぶっと吹き出す音が隣から聞こえた

忍足「持病の百面相て、どないやねん」

日吉「ちょっと、汚いですよ忍足さん」

忍足さんがツッコミかましているところに

日吉が苦情を飛ばしていた

「あ、ほんとだ。めっちゃ飛んでるじゃん。汚ったね」

私も乗っかってみた

持病の恋煩いには触れて欲しくないんですよ

すんませんね、忍足さん

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