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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第9章 居なくなって初めて気づいた


私は自分の部屋でぼんやりとしていた

合宿に来たのにあんまり練習出来てないなとか

赤也に告白されたのが随分前のようだとか


海堂が好きだとか


「何考えてんだよ…なしなし。自分の状況考えろっての」

そう独り言を零すととても虚しくなった

赤也の様に言葉にできたら良かったのに

私は海堂やみんなに嘘をついている

言える筈がない

でも自分の気持ちに気づいてしまえば

会いたい、触れたい、傍にいたいーーーーー

恋はいつの間にか落ちているものなんて

どこかの誰かが言っていたけど

本当にいつの間にかだった

けれど私は仲間の壁を超えてはいけない

途端に赤也が羨ましくなった

あんなに真っ直ぐに、素直に告白してくれた

今更、彼を尊敬してしまう

そんな思いに耽っていたが、時計をみて立ち上がった

夕食の時間だ

視界の不自由な海堂を連れて食堂へ行こう

そう思い、部屋を出たところで不二先輩と鉢合わせた

不二「やあ。そろそろ夕飯だね」

目が合った不二先輩はそんなことを言ってきた

「はい。先輩、この施設に用事ですか?」

何故彼がここにいるのだろうか

不二「海堂のお見舞いだよ。邪魔したね」

それを聞いて納得した

「とんでもないです。海堂、部屋にいます?」

不二「ああ、いるよ。食堂まで連れていくのかい?」

「はい。片眼で階段を使うのは不安ですから」

そう言うとクスッと笑い、過保護だねと言われてしまった

不二「じゃあ僕は失礼するよ。またね」

手を振って帰っていく不二先輩に後ろで頭を下げて見送った

不二先輩が階段を下ったことを確認してから、頭を上げて海堂の部屋をノックした

コンコンコン

すると慌てたような声色で待ってろと返ってきた
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