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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第9章 居なくなって初めて気づいた


桃の部屋の前についたので扉をノックした

中から軽快などーぞーという声が聞こえたのでノブを回した

桃城「お、真琴か。見舞いさんきゅー」

私の顔をみて快活に笑いながらそう言った

「桃、調子は?」

そう尋ねれば無用な心配だとばかりの笑顔で返された

桃城「俺よりマムシの方がひでえだろ?あいつボコボコにされたから」

尻下がりになる声に心配さが伺えた

「海堂も打撲だけだったから大丈夫」

そう言うと桃から安堵のため息が聞こえた

そしてこちらを凝視している

目を離したら負けなのかな?と思いつつ桃を見る

桃城「背丈もそうだけど、顔も確かに中性的だな」

何を言い出すかと思えば

あのクソ野郎の言葉を反芻しているのだろうか

最近の桃は観察眼が鋭い

ヘタな入れ知恵でバレたらどうしようと内心ヒヤヒヤする

「人のコンプレックスつつくなよ」

そう苦笑しながら言えば納得したのか、わりぃといいながら視線を外してくれた

なんとなく気まずくて会話を探してみたけど上手く見つからない


そこへタイミング良くノックの音がした

桃は再度、軽快な返事をすると扉が開いた

大石先輩に菊丸先輩、不二先輩に河村先輩、そして乾先輩まで

負傷中の海堂以外全員集合してここにいる

大石「桃、大丈夫か?」

その言葉に桃は心底嬉しそうだ

桃城「……みんなして大袈裟ですねー」

そんな言葉とは裏腹に、顔が緩んでいる

その光景を見ながら、私は逆に悲しい気持ちになった

本当の私を知ったらこの笑顔が軽蔑の顔になるのだろうか

本当の事を知っている大石先輩と乾先輩はどう思っているのだろう

どのみちそんな怖い質問、私には出来ない

いつかは話さなくてはいけない

けれどそれは今じゃない

そう自分に言い聞かせて私は桃の部屋を後にした

不審に思っている先輩達にも気づかずに

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