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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第9章 居なくなって初めて気づいた


海堂「泣くな。感謝してる」

海堂は少し困った顔で私にそういうが

私の涙は止めどなく溢れた

「電話のせいで…こんなに…」

私は声の震えを止めることが出来ずにそう言う

そっと海堂の頬に触れた

湿布の上からだからか、今度は顔を歪めたりはしなかった

海堂「だが、あの電話で見つかった」

そうなんだけど、と言いたい気持ちを抑え

ベッドに隣同士に座っていた海堂を抱きしめた

腰に両手を回し、海堂の胸へ自分の顔を隠した

ベッドの軋む音と海堂の心臓の音が聞こえる

彼が生きている証

その音にどうしようもなく安堵感が溢れる

彼は嫌がることもせず、私の頭を撫でてくれた



どのくらいそうしていたのか

私はそっと上体を戻した

とても名残惜しい

海堂を見ると随分穏やかな顔をしていた

そして目が離せない

ああ、わたし

海堂のこと好きなんだ

私の心臓は納得をしたようにトクリと鳴った気がした

好きだよ、海堂

言ってしまいたい衝動を抑えつけた


ガラガラガラ


唐突に扉が開いたのでそちらに目を移した

真田「二人とも、状態はいいか?」

先程まで忙しなく連絡を入れていた真田先輩

一段落ついたのだろうか

真田「吉野、招集がかかった。行けるか?」

私が怪我一つしていないことは知っているのに

この人は優しいなと思う

「はい、大丈夫です。その前に海堂を部屋に連れて行っていいですか?」

片眼が見えていないのだから一人で歩かせたくない

真田「うむ。俺も行こう」

了承を得たので二人で海堂を部屋まで連れていった

そして安静にしろと言ってからE施設に向かった

班長、副班長の報告会と言ったところだろうか

私達はE施設のミーティング室へ入った
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