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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第9章 居なくなって初めて気づいた


そいつが泡を吹き出した頃私の手は優しく引きはがされた

「その辺にしとけ。死ぬぞ」

海堂の声に私は我に返りぱっと手を離した

良く見るといつの間にか小太りは捕獲されておりロープで縛られている

そいつは青い顔をしながらこちらを凝視している

私は脈を取って生きていることを確認すると安堵した

そこへロープを持った赤也が来たので、そいつから降りて離れた

赤也はさっとロープを巻くとその男を投げ捨てた

桃城「あとは跡部さんと警察に任せましょ」

桃の声でやっと終わりを感じることが出来た







暫くすると警察官がやってきて二人を連れていった

そのふたりは逃亡中の殺人犯だったそうでボートか何かで島に入り込んだらしい

食料を求めて施設に不法侵入し、帰り際に顔を見られてしまった

そして近くに置いてあったテニスラケットで殴打し、ここへ連れてきたそうだ

丸井先輩と仁王先輩は談笑中、桃と海堂は鉢合わせて喧嘩中だったそうだ

私達は警察官に軽く事情を説明してから、各々医師に見てもらうことになった

私と海堂は大人しく診察を受けた

「私より海堂を早く診てください!」

と、私の切望により海堂はすぐに手当てされた

顔には湿布が貼ってあり頭には軽く包帯がされている

目元は氷水で冷やしていた

私の方はといえば、首を締めた際にもがいた糞野郎の爪痕くらい

唾でもつけときゃ治るでしょ

と、内心思いつつ医師にお礼を言った

彼らも警察官同様、急遽来てもらったので急いでヘリに乗って帰っていった

どうやら大怪我をしている人はいないらしく

全員打撲のみとの事だった

忍足さんと赤也には外してもらい医務室に二人きりになる

「……………」

海堂「助かった。どうもな」

何も言えなかった私に、海堂は優しい顔でそう言った

私の目には涙がたまり、遅くなってごめんと震える声で呟いた

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