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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第9章 居なくなって初めて気づいた


中は薄暗く、短い階段を下るといくつもの部屋が点在していた

近くの部屋へ聞き耳を立てると中から人の声がした

A「食料奪ったんだからズラかろうぜ。あいつらのお仲間が来たらやべえって!」

B「たかが中学生だろ?何人来たってまた縛ってやるさ」

二人の不愉快な笑い声が聞こえ、取っ手に手をかけようとしたが

またも忍足に遮られた

「………!!!」

何故?と目で訴えれば、手を捕まれ扉から少し離れた

忍足「先に仁王達を助けようや。俺らだけじゃ人数が足りひん」

そう耳打ちをされて気づく

私は戦力外なのでこちらは2人

相手は大人二人だとしても分が悪いのだ

私達は手近な扉を静かに開けてみんなを探した

だが数が多くなかなか見つからない

次第に不安で泣きたくなった

彼等に何かあったらどうしよう

彼に何かあったらどうしよう

そう思いながら次の扉を開いたとき

涙が出そうになった

“いた”

私は赤也と忍足さんを手招きで呼んで三人で中へ入った

中にいた人物は当然、誘拐犯が来たと思ったのか鋭い目つきをこちらに向けている

だが、私達の顔を見ると酷く安心したような顔つきになった

扉を閉めてから口を開いた

「無事で良かった…怪我はないですか?」

みんなを見渡せば大きな負傷は見当たらない

ただ、みんな顔に痣が出来ていた

殴られたのだろうか

海堂の顔が一番酷かった

タコ殴りにされたのか、瞼が青く腫れ上がって目がちゃんと開けていない

私達は駆け寄ると、縛られているロープを解いた

私は海堂のロープを解くと顔を良く見る

「酷い。なんでこんなに…」

頬に触れると少し痛そうに顔を歪めたので慌てて手を離す

私には心当たりがある

あの電話

あの所為だろうか

私の怒りが頂点に達し、ぷつんと音がした
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