第8章 過去との決別
唐突に夢は終わりを告げた
自分の声で目が覚めると真っ白な天井が見えた
そして何故か柳先輩の心配そうな顔
「やな、ぎ、さん?」
震える声でなんとか問えば彼は頷いてくれた
そして汗だくになっている私の額をタオルで拭いてくれた
柳「大丈夫か?魘されていたぞ。」
そう言われ、半ば消えようとしていた夢の記憶を一つ一つ思い出していく
「ご迷惑おかけしてすみません」
私の言葉は質問とは裏腹に違う返答をした
少しずつ思い出していくと、とても忌まわしい夢だった
半身を起こし周りを見渡してから、ここが自分の部屋だということに気づいた
私は一体どうして寝ていたのだろうか
その疑問に気づいたのか柳先輩は丁寧に説明してくれた
柳「先ほど先生方から緊急招集がかかったのだ。班長、副班長は至急E施設に集まるようにと。
他の者は各自、部屋での待機と言うことで伝令に来た俺は弦一郎に伝え、他の者にも伝えていた。
弦一郎は君を呼び出そうと部屋をノックしたが返事がなかった為押し入った所、震えていてすぐに意識を失ったと言っていた。
弦一郎には招集へ行ってもらい、俺がここに残ることになった。
何か質問はあるか?」
一気にそこまでまくし立てると、続けてタオルで汗を拭ってくれた
「あ、ありがとうございます。でも、何故柳さんが残ってくれたんですか?副班長が招集なら、うちのチームメイトに任せても良かったんじゃ…?」
そう問うと少し気まずそうに顔に翳りが出る
柳「弦一郎から、泣いて震えていたと聞いた。もしかして昨日のことで君のトラウマが再発、もしくはバレてしまうというプレッシャーがかかったのではないかと思ってな」
本当に申し訳なさそうにぽつぽつと説明された
昨日のこととは、真田先輩に元立海生徒だということを吹き込んだことだろう
やはり柳先輩の行動だったようだ