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テニスの王子様*あなたに憧れて*

第8章 過去との決別


ドクンドクンドクン

心臓の音が早くなり大きくなり、目眩までしてくる

私はいつからこんなに弱い人間になったのだろうか

「………っ……………」

手足の震えが止まらず、涙も溢れる

助けて、助けて

心の中でそう願う

するとそれに応えるように扉がノックされた

私は震えの所為で動けない体を抱えて扉を見る

再度強めのノックがされたかと思うと扉が開いた

そしてその人物は私の姿を見て驚き、駆け寄ってきた

「吉野!!大丈夫か!?何があったのだ!!」

涙で霞む目を凝らして見れば、帽子を被り黄色いジャージを羽織っている姿が見える

真田先輩かな…?

安堵からなのか、意識が遠くなる

真田先輩、ごめん

海堂だったら良かったのに、なんて思って

「おいっ!しっかりしろ!」

最後にそんな声が聞こえ、私は意識を手放した










私は何もない真っ暗な空間に佇んでいる

ここは何処だろう

出口は何処だろう

キョロキョロと周りを見渡せば遠くに人が見える

誰だろう?

私は近づこうと歩を進める

だが、いくら歩いても近づけない

良く見れば彼等は青いジャージを着ている

「青学……?手塚先輩!不二先輩!!」

彼等はこちらに気づいてくれない

「ねえ!英二先輩、大石先輩!!」

彼らとの距離が次第に離されていく

「待ってよ!!河村先輩!乾先輩!!」

私の声が届かない、私に気づいてくれない

「ねえってば!越前!桃!」

必死に走りながら喉が掠れる程叫ぶ

「まっ…てよ……海堂!!」

そう叫ぶとすぐ後ろから聞き慣れた嫌な声が囁いた

「あんたに居場所なんてないよ。ね?吉野」

振り返ると笑顔で佇む藤江先輩の姿

その姿がみるみると、海堂へと変わっていく

「い…や……」

後退しても遠のかない距離

海堂は微笑んでいる

「女の癖に」

やだやだやだ

聞きたくない

「いやあ!!!」
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