第1章 新たな場所で
――――ここではもうテニスは出来ない
私はその後すぐに退部届けを出した
そして転校を決めた
自慢にならないが私の家は裕福だ
学校からそう遠くない場所に構えた大きな家
別の学校へ通うにはとても不便だ
そのため私は一人暮らしをさせて貰える事になった
新しい学校から徒歩10分ほどの場所にあるマンション
その高層マンションの8階が私の部屋
2LDKの間取りは私一人には広すぎる
お手伝いさんは雇わない
一人暮らしの条件は、家事の一切を自分でやることだから
新しい場所でテニスが出来る
私は楽しみで仕方がなかった
“王者立海大附属中学校”
この名前は男子テニス部についた名前であり、女子テニス部は全くの弱小校
対して、“青春学園”も女子テニス部はほぼ無名である
なので私は、青春学園 理事長、校長、テニス部顧問に頭を下げ
男の子として迎え入れて欲しいとお願いした
私は更なる高みを目指したい
日本一、いや世界一のトッププレイヤーになりたい
その為に、茶色がかっていた長い髪を切り捨て短くした
女口調を捨て、常にサラシを巻く。
男としての吉野 真琴が誕生した。