• テキストサイズ

テニスの王子様*あなたに憧れて*

第5章 私は幼馴染みとキスをしました


――忍足side――

私……?

彼の一人称が変わった

今日会話を聞く限り一人称は“俺”だったはず

一先ず海堂をベッドへ寝かせる

「海堂、打ち身やと思うけど頭痛かったりせえへんか?」

問えば横に首を振っている

多分大丈夫だ

「ごめん…」

か細く聞こえる彼の声が女の子の様に上ずっている

目を泣き腫らし必死に謝罪を繰り返している

本当に女の子なのではと疑ってしまう

もう一度海堂を見ればちょうど良く眠っている

聞くなら今だなと思わせるタイミングだった

「なぁ」

「……?」

海堂が眠っているのを見て安心したのか先ほどより落ち着いた様子でこちらを振り返る

「自分、ほんまは女の子だったりせえへん?」

線の細い体といい、先ほどの疑問といい、そうとしか思えない

ちゃうかったらだいぶ俺、きもいねんけどな

「………え?」

さーっと血の気の引いた顔をしている当たり、図星だろう

「泣いた時の上ずった声といい、一人称が私になったことといいそんな気がしてならんねん」

そう告げれば、どうしようと困った様子が伺える

「あー、言えへんわな。」

男子部員としてここにいるんだし、他人には言えないのだろう

吉野は海堂の様子をチラチラ見て口を開く

「事情は多々あるんですが…その通りです。ご内密にして頂けませんか?」

困ったように微笑みながら俺をみる

「わかっとる。誰にも言わへんよ」

安堵したように一息ついている

「もし、知りたければ乾先輩から聞いてください。女子テニスの女帝のことが知りたいと言えば多分伝わります」

自分の口からいうのが嫌なのか?

「わかった。ほな、俺は竜崎先生んとこに説明行ってくるわ。海堂よろしく頼むで」

頭にぽんっと手を乗せ撫でる

気持ちが落ち着いたのか微笑みながら、お願いしますと一言貰い俺は医務室を後にした

彼を今までどうして男だと思えたのだろうか



――忍足side END――
/ 110ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp